『ウイルスは存在しない』(上巻) 崎谷博柾 著

人間が病気になる原因は二つあると考えられています。一つは外から何らかの因子が入り込むというものです。もう一つは体の内部に原因を求めるものです。前者の考え方は病原体説というもので、現代の医学では主流となっています。崎谷氏は著作のなかで、この病原体説は誤りであるという考えを打ち出しました。科学的な常識を覆す氏のアイデアについて、解説していきましょう。

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著作の内容の要約と著者について

『なぜウィルスは存在しないのか』は三章構成の本です。
第一章感染症とは何か?
第二章ウィルスとは何か?
第三章エクソソームとウィルス
これが各章のタイトルになります。本の内容を一言で要約すると、人間が病気にかかるのは未知のウィルスによるのではなく、人の体の中にある一つ一つの細胞の不調によるというものです。著者は前者の考えである病原体説を取らず、後者の考えである細胞説こそが正しいと著作の中で主張しています。病原体と病気の因果関係を証明するためには、コッホの原則を経なければならないのですが、それはまだ証明されていないというのが著者の説の根拠のようです。病原体説が広まりウィルスの脅威が叫ばれるようになったのは、製薬会社が医薬品を売るために煽ったからだとも述べています。

外部からの病原体(ウィルス)が病気の原因ではないのならば、何が実際に病気を引き起こしているのか。エクソソームがその原因だというのが、著者の考えです。エクソソームとは細胞から分泌された、直径50-150nm(ナノメートル)の顆粒状の物質のことです。このエクソソームが中毒症状を起こす現象を、研究者が外部の病原体の仕業だと勘違いしたことによって、ウィルスの存在が信じられるようになったのだと崎谷博柾氏は主張しています。考え方自体はユニークなものですが、論拠となる資料を積み上げているので、とても説得力のあるものとなっています。

崎谷博柾氏は奈良県立医科大学卒業の医学博士で、脳外科専門医として働く傍ら著作活動に励んでいます。他に、社団法人パレオ協会代表理事、エネルギー量子医学会長も勤めています。従来の考えにこだわらない自由な考えをリアルサイエンスと標榜して、ブログなどでの発信も精力的に行っています。

『ウィルスは存在しない』(上巻)を読む際の注意点

『ウィルスは存在しない』は崎谷博柾氏が書いた、大変刺激的な本です。従来の常識を覆すことは勇気のいることで、誰にもできることではありません。テレビで言っていることが本当でしょうか?有名人が言っているから本当でしょうか?中庸の姿勢が重要になってくるのです。そのような姿勢で読書に当たれば、多様な知識に触れることは、とても有意義なものになるでしょう

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